飯南町

 飯南町は平成17年に合併(旧松阪市、飯高町、三雲町、嬉野町)して松阪市となったが、隣接する飯高町とともに限界集落地で年々人口が減っている。深野、横野、下仁柿、上仁柿、下郷、上郷、向粥見、有間野の8つの地区から構成されている。
 飯南町の面積は約76km2でそのうち8割強を山林が占めている。そのため地場産業といえば一次産業が多く、労多くして見返りの少ない状況が若者離れを助長している一面がある。
 近年では企業誘致が行われ雇用を生み出しているとはいえ、就労人口に対してわずかでしかない。長らく農業に従事してきた家庭では田畑を受け継ぐ後継者も無く、不耕作地となった土地にはソーラーパネルが立ち並ぶようになり、田園風景に新たな変化が生じつつある。
 林業では崩落から事故につながりかねない箇所を優先的に、伐採作業が進められているが、やはり後継者不足もあり十分とはいえない。そんな土地柄の中でも営々と作業に取り組む年配者を多く目にする。
 しかしその反面、自然に恵まれ四季を感じながら、悠久の歴史に触れることができる場所もたくさんある。縄文時代の遺跡、古代・平安時代の伝承、中世の史跡も数多い。また和歌山街道、伊勢本街道などの宿場跡であった地域には近世の面影も残されている。
 松阪市といえば「松阪牛」というイメージが強すぎて松阪もめんの「藍染」など知らない人も多いだろう。歴史好きな人にとっては、松坂城址、本居宣長旧宅などを思い浮かべる人もいるだろう。
 もう少し中山間地へ足を運んでもらえれば、新しい驚きに接することができることをお約束しよう。そのために、できるだけ細かな取材を継続していきたいと心掛けていく。
  

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